To the boundless heart , Than a limited thing

〜 限りあるものより、限りない心へ 〜

天姿婉順(てんしえんじゅん):冲方丁「光圀伝」より

聞いたことがない言葉なので、調べました。

 

 

天姿婉順

 

光國の妻になった泰姫を形容した言葉です。

 

 

天姿 ・・・ 生まれ持ったすがた。ひととなり。

 

婉順 ・・・ しとやかですなおであること。

 

(参考 「●字典」 上田萬年、岡田正之他 ●は旧字体のためPCで出せませんでした。)

 

 

 

婉の女偏は義を示し、語意の中に優しさを含むのだとか。

 だから、婉美、婉麗、婉愛、どれも「やさしい〜〜」となり、

 

 

順は「したがう」と訓読みするように、すなおさを表す。

 

 

正直に、素直に、奇を衒わず(普通と違ったことをして人目を引く、みせびらかすことをしないで)、

自分の思うまま、正しいと感じるものを目指して、

同じ気持ちを持つ人たちと共感しながら進む人。

 

 

 

「これからは私がお傍におります。」

 

 

「ご安心、ご安心。」

 

 

 

 

 

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いい言葉がたくさん出てきました。

 

知らない言葉もたくさん出てきました。

 

 

漢字で書かれていても聞いたことが無い言葉に 

孔子孫子

和歌も漢詩もありました。

 

読むことはできても

意味が分かりにくかったり

見当すらつかないことが

もどかしく感じました。

 

日本語で書かれていて

分からない言葉を無くしていきたいなぁと言う思いから

分からない言葉が出てきたら辞書を引いて

昔使った国語便覧を見て漢語林を持ち出して‥‥

 

1冊の本を読むことに対して

今回ほど時間を使ったのはいつぶりか分かりません。

 

でも

時間を使った甲斐あってか

登場人物の動作の1つ1つや

小さな気持ちの変化が

鮮やかになったような気がします。

 

 

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この本とほぼ同時に

さんの軍配者シリーズと

灘高校国語教師の橋本武さんの本を並行して読み進めて行く中で

共に疑問が浮かびました。

 

 

この時代の人は

今のようにノートをとる訳でもなく

参考書がたくさんある訳でもないのに

どうやって膨大な知識を身につけられたんだろう

 

ということです。

 

 

羨望もあります。

自分の職業柄というものあるかもしれません。

 

 

本の中の登場人物たちは

新しいことを学ぶときには

数冊しか無い本をじっくり読み込むことと

師匠と話をすることを

繰り返していました。

 

その中で

忘れない知識をたくさん得て

その成果として

青史に列せられるようなはたらきをしました。

 

僕自身

学生時代を振り返っても

新しくを学んだ事柄の中で

少しの間でも覚えていることができた知識は

数えるほどしかありません。

 

 

自分で文章や言葉をよく考えて十分理解して、味わうこと

 

 

学生時代と今の自分に足りていなかったことはこれだと思いました。

かつては無くて

今有るものといえば

本  参考書  ノート  筆記用具  それらを合わせた環境。

 

他にもあるかもしれません。

 

ただ、その逆に、

学習をしていく中で昔は有って今は無いものの筆頭は

自分で咀嚼をする時間

なのだと思います。

 

 

登場人物たちは

分からないものは分からないと言って

教わり、考え得たものは使い倒して

もし間違っていたら、その恥とともに記憶をして

次に繋げていました。

 

また、自分の持っている知識に対しては本当に正直で

自分にまだない知識には謙虚で敬意を持っていました。

 

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正直でいること

謙虚であること

 

僕が教える立場にいて

その人の賢さを感じるのは

分からないことを、こうですかと質問してくる人です。

その人は習ったことを使って、どうにかして問題を解こうとします。

模範に沿った回答でも、自分で回答にたどり着くことができて

同時に

自分が教わったことをまだ分かっていない人に教えることもできる。

 

自分で咀嚼したからこそ

人の頭は鍛えられるんでしょう。

 

正直であること

謙虚であること

 

ついつい横着になる自分を戒めながらこれから

自分が学んだ時間の半分は

静かに考える時間を取ろうと思いました。

 

 

 

 

 

天と地の間(はざま)にあるもの、悉(ことごと)くが師である。   宮本武蔵