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To the boundless heart , Than a limited thing

〜 限りあるものより、限りない心へ 〜

「ありがとう。もう十分だよ。」

キナバル山のガイドさんの言葉。

 

3泊4日の日程で

マレーシアのカリマンタン島にあるキナバル山に登ったときのこと。

 

 

* * * * *

 

山小屋の中で、標高3800mとは思えない暖かい夕食の後、

午前2時に起きて山頂を目指す。

出発前には、ガイドさんからホットココアをもらう。

 

ここで食べた食べ物や飲み物は

地元の人達がガスボンベから食料まで、

すべてを片道6時間かけて、

一人一人が50kg以上を持って登ってくれたおかげだとココアを飲んだ時に知る。

 

出発前、ガイドさんはたくさんものを貸してくれた。

自分も登山だからと思って、たくさんの荷物をザックに入れていたが、

ほとんどが不必要か使いにくいものばかりだった。

(着替えがたくさんあったり、水が3Lくらいあったり。

 水は登山者向けの施設があるから必要ないけど、一応と思って。)

 

ガイドさんの荷物は僕の3分の1以下。

本当に少ない荷物でも、僕が持っていないものを全て持っていて、

「君のはよくない。予備があるから、こっちを使いなさい。これ食べるか?」

と言って、グローブ、ヘッドトーチ、ロープ、防寒具、雨具、行動食、、、

彼は本当にいろんなものを貸してくれる。分けてくれる。

 

彼が持っているものは日本で売っている品物に比べて

高価でなく、機能が少なく、場所を取らず、軽く、

驚くほど使い込まれた道具。

 

「何かお礼をさせて。」と言うと、

ガイドさんは少し考えてから申し訳なさそうに、

「水を少し、分けてくれるかい?」

 

この人達は、登山者のための食料や飲料に手をつけないから、

自分の食料は自分で持たないといけない。

 

でも、

登山者から荷物を持ってと言われたら

40kgだろうが60kgだろうが代わりに持たないといけないから

彼が持ってる荷物の中の食料と水は本当に少ない。

 

水が少なくなった彼にペットボトルを1本渡すと、自分のコップに半分注ぎ、

「ありがとう。本当に助かったよ」と言って返してくる。

 

「遠慮しないで」と私が言うと、彼は

 

「本当にありがとう。でも、もう十分だよ。」

 

と言って笑う。

 

 

* * * * * 

 

今はたくさんのことができるようになった。

 

「いつでも、どこでも、好きなだけ」を求めすぎて、自分は不足を感じていたんじゃないかと思う。

 

 

「もう十分だよ」は「いつでも、どこでも、好きなだけ」に勝る。

 

 

標高4095mからの日の出を見ながら、得難い経験だったと思う。

 

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