誰に向けて何を書くか
>いかにして何を書くか。
ある著者ばかり追いかけていると、他の著者と同じタイトルの本に当たることがある。
「〜私感」「文章読本」「自伝」
小説であろうがエッセイであろうが、著者は自分の心に訴えてきたものを送り出している。だから読み手は、著者の人となりや印象ではなく、書いたものをこそ汲み取る方が良いと師から聞いた。
>誰に向けて書くか。
師の言葉を続ける。
他者に分かってもらおうとして書くのではない。自分の心に強く強く訴えかけるものを、万難を排して形とする作業を続けるのだ。抵抗無く生み出すのではなく、他者の批判にさらされ、自分の未熟さと愚かさに地を這いずり回るほど苦しみ、恥じ入り、克服しようとする中で磨かれた言葉を紡がなければならない。
強いて自分の読者を始めから想定するとすれば、2人しかいないという。
ある特定の1人。もしくは10年前の自分。
>何を書くか。
10年前の自分に語れることは、あるかもしれない。
もっと遊べば、勉強すれば、ちがう道を選んでいれば、
そもそも違う考えをしていれば、、、
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モノを書くと言うのは、言葉によって相手の行動を促すという
言わば「力の行使」なのだとも聞いた。
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語っても話しても伝わらないのは、こちらの力不足か。
下り坂を転がって行くのに気づかせてやれないのは、
あと半歩進めば踏み外すと分かっているのに止められないのは、
どれだけ力が無かろうと、周りに流されようとも、負の傾きを止める試みを怠るのは、
自分の不足か。
それとも、自分の見方と、相手の視点が違うだけか。
ただの高慢か。
どちらでもあるんだろう。
言葉は、難しい。